乳がん体験記のブログを書いてる当人が、随分なタイトル打ちましたね。
(何か五・七・五になってるし)
でも、これは実体験からきた率直な気持ちです。
私が一番ブルーな気持ちになったのは、乳がん告知後の1週間ほどでした。
治療法も何もまだはっきり決まったことはないので、誰に相談する段階でもなく、自分の中でぐるぐるしている時期です。
(MRI・CT検査の結果、Er・PgR・HER2の結果が来るまでは特に何も決まらない)
これまで身近になかった「がん」という病気についての無知。
自分の身体に何がどの程度起こっているのか分からない恐怖。
手術まで、何をしてどう過ごせば病気を悪化させないのか。
そもそもこのコロナ禍ですぐ手術をしてもらえるのか。
もしかしたら術前や術後に抗がん剤を使う必要があるのか。
放射線治療っていうのはいつやるものなのか。そもそも誰もがやるのか。
それらの治療が身体に合わない方もいると聞くけれど、家事、仕事、身の回りのことはどれくらいできるのか。
もし遠方の病院に決まったら、通院、入院での不都合もあるのではないか。
手術がうまくいったとして、それ以降の外来も遠くの病院に通い続けられるのか。
考え始めると次々疑問が湧き上がってきて胸がドキドキしたのを覚えています。
あまりにもわからないことだらけで心配になり、ひとまずネットで乳がんについて調べ、中途半端に知ったことで一層不安になったものでした。
こちらのブログに来訪されている方の多くは乳がん患者さんかなと思います。
そこで今回のタイトルに戻るのですが、「乳がんサバイバーの体験談を参考にするのはストップした方がよい時もある」と、あえてお声がけしたいです。
振り返ってみると、告知直後のこの時期に「自分と違うタイプ」「自分と違うステージ」の体験談を読むことで、得られるものは多くなかったからです。
タイプやステージが違えば治療法は違います。
(乳がん告知の頃はそんなことすら知りませんでした)
そして、自分より進んだステージの方や転移されている方の体験談を読むととても心が乱れます。
リリカルな文面で我と我が身を振り返ってらっしゃる方が少なくないので、物凄く引きずられます。
「何であの時受診しなかったんだろう」という後悔を呼び起こす内容
→(今悩んでも戻れない)
「(術後の)抗がん剤やホルモン剤がきつい」という感想
→(体質による部分もあります。そもそも必要ないかもしれない)
「乳がんになったおかげで気づけた!」というようなキャンサーギフト的体験談
→(告知直後に開眼できるなら、その人は仏)
このあたりは特に、まだ検索しなくていいように思います。
もしも検索に検索を重ね、いつの間にか別の部位のがんや他の難病のブログに辿り着いていたら要注意です。
自分のおかれた状況がわかった上で読み、「すごく共感する」「そう、それなんだよね」という気持ちになれるなら何よりです。
色々な立場のサバイバーが、色々な思いで書いている体験記がぴたっと心にはまるようなら素敵な出会いですよね。
私自身そっとブログを拝見し、勝手に知り合いのような気分になっている、自然体で素敵な乳がんサバイバーさんがいます。
それでも、ネットの荒波に身を投じる際は気をつけてほしいと思うのです。
なぜってね。
私がやったからですよ。
やっちゃいましたよね。
まだどんな術式・治療法にするか一切決まっていないのに、色々な立場におかれている方のブログにお邪魔しました。
そして「今の状態がつらい」という心の叫びにシンクロして、スマホ片手にそっと涙してましたね。居間で。(見つけたら家族もびっくりですよ)
私は自分が乳がんだと知り大きな衝撃を受けましたが、そのために泣きはしませんでした。
50年も生きていると、良いこともあれば、病気の他にも恐ろしくショッキングな体験をすることがあります。
生検にも震えるヘタレな私ではありますが、そういった経緯から耐性ができるのかなと思いますね。年を取るのも悪くない。
しかし、見も知らぬ患者さんやそのご家族の苦しみや悲しみにはノックアウトされました。
「HSPの特性があるかも」という、心が柔らかな方は特に注意してほしいです。
※HSP=「Highly Sensitive Person」の略。感覚が鋭く共感しやすい繊細な性格的特性。
「調べれば調べるほどつらい」と落ち込むくらいなら、銀魂でも見てるといいですよ。冗談ぬきでそう思っています。
「笑いの力がNK細胞を活性化し、免疫力がアップする」と言われるようになり久しいですよね。
「何言ってんの、今笑うことなんてできないよ」という状態なら、せめて必要のないマイナスの感情は手放せますように。
私にとって乳がんイヤーだった2022年。
渦中の頃は反省を活かし、乳がんについて知りたいことが出てきたら「10分だけ」と時間を区切って自衛しつつ検索していました。
もしもこれ以上に調べ足りないことがあり、そのために予後が優れないとしても仕方ないことだと思っています。
これからもその時々で自分にとって必要な情報を得て、あとの時間は通常運転でいきたいです。
「何をつらく感じるか」は人それぞれですね。
子育てや介護でいっぱいいっぱいの時は自由に見える人が羨ましいし、逆にしがらみが少ないからこそ家族がほしいと熱望する人もいる。
いつも笑っている人が隠し持つ悲しみに気付かない人もいれば、裏の裏まで考えて自分をも傷つけてしまう人もいる。
私のブログも含め「合わないと思ったらそっ閉じ」スタンスで。
特に乳がんを告知されたその直後は、何より自分の心を守ってほしいなと心から思っています。
ちょっと真面目モードになっちゃったな。