2022年5月下旬。
乳がん全摘+同時自家組織再建手術をした後、HCU(高度治療室)で寝たきり生活を送りました。
HCU滞在は約3日間。
ひたすら横になったまま、とにかく腹筋を使ってはいけない。
看護師さんの手を全面的にお借りします。
ちょっと喋れる新生児くらいに手がかかってます。
HCUでちょっぴり大変だったこと
前回書いたように、HCUにいる間「痛い」「辛い」ということは、ほぼありませんでした。
寝たきり患者の世話でご苦労あるのは看護師さんですよねぇ。
私はお腹のお肉で乳房再建(腹直筋皮弁)しています。
それで膝を折った状態で寝たきり生活を送ります。
そんな中、あえて「これちょっと大変った」を探すとすれば。。。
うがいですかねぇ。
。。。
今ハァ?って思いましたね。
いやいや、結構な難所なんですよ。
寝たきりのベッド上でのうがい!
歯磨きの後、看護師さんがカップに水を入れて渡してくれるんですよ。
で、ガラガラ~ッとしてうがい受けに出すんです。
うがい受けはえんどう豆型のピンクの飯盒みたいな感じで、ここにペッと入れるですけどね。
ぼんやりやってるとダ~ッと顎から垂れてきて惨事ですよ。
「これ結構なテクニックがいるじゃん」って思いました。(私だけかな)
もう一つ苦労した思い出は、食事で骨付きの煮魚が出たこと。
ひたすら寝ててOK。上げ膳据え膳でご飯が出てくるとか幸せの極みですよ~。
献立も考えなくていい、ご飯作らなくていい、、、ありがとう、ありがとう食事スタッフの皆さん。
でも!
なぜ!
今、骨付き魚なのか。
自分身体完全には起こせないんですけど、、、骨取るのめっちゃ大変なんですけど、、、と思いましたよね。まぁ美味しくいただきましたけど。
ご飯を茶碗によそわず、持ちやすいおにぎりに握ってくれる優しさを、ぜひ魚のチョイスに発揮してほしかった。
カジキマグロとかどうかな。何なら肉でいいと思うよ。
手で食べられてダラダラ垂れないもので頼むって思いました。
(塩味のつくねとか。何なら魚肉ソーセージでもいい)
あとはねぇ。。。マスク。
マスクが息苦しかったですね。
普通の不織布マスクのことです。
術後しばらくはマスクはマスクでも酸素マスクを着けます。
が、酸素マスクをしていない時は、病室でも基本的に不織布マスクを着用してるんですよ。コロナ禍だったので。
これが結構きつくてですね~。
もうあまりに苦しいので、途中からは自分エリアのカーテン内に誰もいない時は、マスクずらして呼吸してました。コロナのやつ。。。地味に削ってきやがる。
何なら、うがいや煮魚より大変だったかもな。
ドラマチックなこと書けずに申し訳ないです。
寝たきりを助けてくれたアイテムたち
さて入院生活で一番感謝しているのはもちろん先生や看護師さん、病院スタッフの皆さんです。
でもって、「え、君こんなに有能だった??」と思った隠れた功労者がですね、、、
電動リクライニングベッド!
HCUでも一般病棟でも助かったなぁ。
内視鏡でポリープを取って経過観察で一泊入院した時だって電動リクライニングベッドを使ったと思います。
でも「リクライニングできると本読む時に便利だわ」程度にしか感じてなかった。
せいぜい座椅子と同じレベルのお役立ち具合だったと思います。
それがね、、、
「うちに帰ったらこのベッドないんだよなぁ。退院したくないなぁ」と思うほど頼ってました。
だってね!
背もたれを起こせるだけじゃなく、膝の部分を折り曲げたり上下したりできるんですよ!?
作った人は天才なのかなって思いました。
(原始人みたいな反応ですみません)
かつて祖母がご自宅で寝たきりだった友人から、夜中に複数回「寝返り部隊」(と呼んでいた)が来てくれる、、、というお話を聞いたことがあります。
寝たきりだと床ずれができてしまうので、自分の力で寝返りできなくなったら他人に頼ることになるんですね。
床ずれという言葉だと「ちょっとずれただけ」なような軽微な感じがしちゃうので、褥瘡(じゅくそう)と言った方がいいかもしれません。
体重がかかる部分がずっと圧迫される。
じっと横になっているというのは、それだけ血の巡りが悪くなり、身体が凝るんですね。長期間寝たきりの方は大変なことだと思います。
今回の私の場合は、長期間というほどではない寝たきり生活です。
でも、お腹を切っていて大きく寝返りは打てない(俯せはNG)。
そんな時、電動リクライニングベッドの背もたれ部分や膝部分を時々調整をするだけで身体がとても楽になりました。
一般病棟に戻ってからも助けられ、ベッドから立ち上がる時、横になる時にベッドの昇降ができることがとても大きかったです。
こういうのって、患者や医療スタッフの声を聞いてニーズに応えどんどん進化していったんだろうなぁ。
電動リクライニングベッドがなかったら、入院中の感想はまったく違ったものになっていた思います。
開発してくれた人、ありがとう!!!と伝えたいです。
あと意外と持っていって良かったなぁと思ったのが、トラベル用の小さなU字クッション。
スリコで買ったから300円のものなんですが、中に細かなビーズが入っていて表面はふかふかなタイプです。
本来は首を挟むものですが、そういう使い方はせずに、「あーここ痛いな」「凝ってきた」と思ったら、ベッドと身体の間にちょいっと差し込んであげる感じ。
肩甲骨の辺りが多かったかなぁ。
腰痛の時に抱き枕を足に挟んでいると楽になりますが、あんな形で重宝しました。
使っている様子を見て看護師さんから「これ、いいですねぇ」とよく言ってもらいました。
最終的に
しかしね。
こう書いてみると、「HCU(=寝たきり)の大変さ」は、どれも些末なことですね。
この3日間は腰から入れていた痛み止めが、言ってみれば麻薬的に効いていて、お腹に違和感はあって起き上がれないけれど、激しい痛みとかはホントなかったんですよ。
先に書いてしまうと、私にとって大変だったのは手術直後でもHCUでもなく、退院してから2週間後くらいかなぁ。
本当は術後1ヶ月ほどゆっくり過ごすのがベストみたいですが、ほぼ通常通り家事、(在宅とはいえ)仕事等してたんでね。。。
お腹を切る場合は、退院後余裕をもった計画をおすすめします。
HCUの間は特に夢の中にいるようなものです。
こちらがぼんやりと呆けていても定期的にバイタルチェックしてくれ、困りごとにサッと対応してもらえますから。
先生、看護師さんを始めとする病院スタッフの皆さんに手を合わせる毎日でした。ありがとうございます!