2022年5月下旬。
乳がん全摘+同時自家組織再建手術(腹直筋皮弁法)から6日経過の続きです。
「リハビリが問題なさそうなら近々退院できる」と言われていたところ、リハビリ開始を待たず退院日が決まりました。
この日から3日後に退院です。つまり入院11日目の朝。
10泊11日の入院期間となりそうです。
周囲の「よかったね」に微妙な気持ち
「あと3日で下手したら追い出されるのか。
全身麻酔が効いているうちに両肘かかえられて帰りの車に放り込まれるアメリカ並みだな」
という、馬山さん(アメリカ在住経験あり)からの人聞き悪いメールに笑う。
(あちらは出産時も2日程度で放流されます)
誰もかれも「早く帰れてよかったね」と喜んでくれていました。
特に夫は自身も何度か入院経験があって、「自分のベッドで熟睡したい」「家でゆっくりしたい」「病院に感謝はしているけれど、どこの病室もしんどかった」という気持ちがあったようです。
「だから早く退院して、リラックスさせてあげたい」と言ってくれるんだけどね。。。
実は。
すっかりリラックスしてるんだよねーー!
4人部屋で夜ぐっすり眠れないのは厳しいから、もちろん一人で眠れたらいいなと思う。
ただそれよりさらに「D病院快適だな」って気持ちが強かったのです。
ホント安心して過ごせました。すごく楽だった。
誰かのお世話しても、お世話してもらう機会ってなかなかないですからね。
気分は温泉のない湯治でした(アンビバレンツ)。
帰宅したら、家事しながら仕事をやるんだな。
うまくできるかな。
入院中に家族が困らないように、できる限りの準備はしてきた。
とはいえ、作り置きの食事もほぼ捌けた頃だろう。何から始めようかな。
大学生・長男が下宿暮らしになって思うことは、「見えないって素晴らしい」です。
同じ家にいれば、どうしてもあれこれ口出し動いてしまうところ、距離による不可抗力で気にならなくなるんですよね。
入院もこれだよなぁ。
どんなに家のことに手出しをしたくてもできないんだから、納得づくで心安らかです。
夫は色々気づいて家事を手伝おうとしてくれるだろうな。私より細やかなタイプなので。
でも「自分のやるべきことを目の前で誰かがやってる状況」って、なかなかに落ち着かないんですよね。
家に帰ったとして、相変わらず多忙な夫に家事を任せてのんびりできるだろうか?そりゃ無理でしょう。
多少つらかったとしても、結局のところ自分で動いてしまう未来が見えて、珍しくほんの少しブルーでした。
家事、仕事、などなど。
どれか一つだけならできるけど、やはり複合的に動くのって身体はもちろん、頭も使うんですよね。
元気な時は無意識にやっていたことが、一つ歯車が狂うといつも通りにできなくなる上ドッと疲れる。
小さいお子さんや介助すべきご家族がいらっしゃる状況だったら、尚更だと思います。
病院はいいな。
自分の体調や次の段取りを考えなくても、病院側から提示してもらえて、助けてもらえて、ご飯も出してもらえる。入院って素晴らしいシステムです。ありがたい。
頼りになる先生、優しい看護師さん、Amazonプライムで動画三昧の日々とお別れかと思うと、「あとちょっといさせてくれないかなー」と後ろ髪引かれてました。
自分、そもそも家が大好きなタイプなんですけど。一体なんだろうこの気持ち。
うまく伝えられる気がしないので、夫には言えませんでしたね。
同室の方と色々おしゃべりする
この日は、翌日に手術を控えた同室の方とお話ししました。
年は若いけれど落ち着いた雰囲気のある、感じ良い女性でした。
彼女が最初にかかった病院ではインプラントでの乳房再建のみのため、自家組織再建を希望してD病院に転院してきたとのこと。
しかしD病院はとても混んでいて、乳腺外科の予約はできたものの形成外科までは取れなかった。それで今回は乳がん摘出の手術だけをすると教えてくれました。
コロナ禍ということもあって、病院も予定ギチギチの中でやってくれていることがうかがい知れました。
(他に「今回は二次再建のための入院」という方も)
また、彼女の同病のお知り合いは保育士さんで、お腹のお肉を使う再建だと術後すぐには動きづらという理由からインプラントを選んだというお話も聞きました。
そうだよね。手術について全員に事情を説明できるわけじゃないし、何も知らない園児さんがお腹に抱きついてきたら対応難しいよね。
再建する人もいれば、しない人もいる。
インプラントを使う人もいれば、自家組織再建を選ぶ人もいる。
術前・術後に抗がん剤を使ったり、放射線を受けたりする場合もある。
皆それぞれの事情があって、それでも最善の選択のために頑張って動いてるんだよな。
そうだよね。。。
自分は望んで腹肉再建をしてもらったんだから、もううだうだ考えるのはやめよう。
しかもありがたいことに、経過順調と言ってもらっているんだから。
元気になったらさっさと退院。
帰ったらほどほどに動いてほどほどに休もう。
頑張りすぎないこと。気にし過ぎないこと。
それでいいや。
頭の中がさっぱりした入院8日目の夜でした。
身体があまり動かせない分、考えがぐるぐるしてしまいがちですが、そんな時は人と話すのも大事ですね。
同室の方が穏やかで素敵な方だったというのもあります。感謝。